同じ乾燥という言葉でも、肌の乾燥と食材の乾燥は別のことのように感じられます。

アーユルヴェーダでは、この2つを同じ物差しでつなげて考えます。

食材の性質を見るグルヴァディ・グナ(10組20の性質)の中でも、日々の暮らしに直結しやすいのが、乾性(ルクシャ)と油性(スニグダ)の対です。

乾性と油性とは

乾性(ルクシャ)はパサつき、水分や油分の少ない性質。

油性(スニグダ)は油分を含み、しっとりとした性質です。

食材だけでなく、季節や生活のリズム、そして体そのものにも、この性質は当てはめられます。

ヴァータは風と空の元素からなり、軽い・冷たい・乾いた・粗い・動くという性質を持つとされるドーシャです。

乾性はこのヴァータと同じ性質を持つため、乾性が強まるとヴァータも一緒に強まりやすいと考えられています。

乾性が強まりやすい場面

乾性が強まる場面と、油性を足す工夫

乾性が強まりやすい場面と、油性を足す工夫の対応表
場面乾性が強まりやすい理由油性を足す工夫
季節秋から冬の乾燥した空気温かい汁物、ギーを使った料理
食事生野菜中心、冷たい飲食物火を通した温かい食事、良質な油を適量足す
生活不規則な食事回数、移動の多さ決まった時間に食べる、休む時間を確保する
肌・体乾燥、こわばり、便の硬さアビヤンガ(オイルマッサージ)

乾性を減らすというより、油性を足して釣り合いを取るという発想

乾性が強まりやすい場面と、油性を足す工夫の対応

季節では、秋から冬にかけての乾燥した空気が、乾性を強めやすいとされます。

食事では、生野菜中心の献立や冷たい飲食物、不規則な食事回数が乾性の側に傾きます。

体そのものにも表れ、肌や髪の乾燥、便が硬くなる、関節のこわばり、眠りの浅さといった形で乾性の強まりが語られてきました。

油性を足す実践

乾性を減らすというより、油性を足して釣り合いを取るという発想が、アーユルヴェーダの基本です。

食事では、ギーごま油を使った温かい料理が、油性を足す代表的な方法とされます。

体への直接のケアとしては、アビヤンガ(オイルマッサージ)が古くから重視されてきました。

温めたオイルを肌になじませることで、乾きをやわらげ、心を落ち着かせる養生とされています。

体質による量の違い

ここで注意したいのは、油性を足せば足すほどよいわけではないという点です。

カパはもともと重い・冷たい・油性・安定した性質を持つとされるドーシャです。

カパが優位な体質の人が油性を足しすぎると、だるさやむくみにつながりやすいと伝統的に説明されます。

ピッタは熱い・鋭い性質を持つとされ、油性そのものよりも、熱を鎮める工夫の方が優先されることが多いとされます。

乾性と油性は、どちらが良い悪いではなく、季節や体質、そのときの状態に合わせて釣り合いを取るための物差しです。

グルヴァディ・グナには乾性と油性のほかにも重い⇄軽い、鈍い⇄鋭いなど9組が存在し、それぞれ同じ考え方で使われます。

本記事はアーユルヴェーダという伝統医学の考え方を知識として紹介するものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。体調に不安がある方、治療中の方は、必ず医師などの専門家にご相談ください。