体にいいと紹介されている食材なのに、自分にはどうも合わない気がする。

そんな経験を持つ人は多いはずです。

情報源によって、同じ食材の説明が違って見えることもあります。

これは矛盾しているわけではなく、見ている視点が違うことが多いためです。

アーユルヴェーダでは、食材が合う合わないを大きく3つの視点で分けて考えます。

1. 素材そのものの働き

まず見るのは、その食材そのものが持つ働きです。

ラサ(味)、ヴィーリヤ(体を温めるか冷ますか)、ヴィパーカ(消化されたあとに残る作用)の3つで、多くの食材は説明できるとされます。

詳しい枠組みは3つのものさしにまとめています。

ただし、この3つだけでは説明しきれない働きを持つ素材もあります。

味や温冷がよく似ているはずなのに、実際の働きが違うという場合です。

この差は、プラバーヴァ(その素材固有の特殊な働き)と呼ばれる観点で扱われます。

主に専門的にハーブを扱う場面で意識される考え方です。

日々の食材選びでも、味や温冷が同じだからといって働きまで同じとは限りません。

そう知っておくと、情報の読み方が変わります。

2. 食べ合わせ

次に見るのは、単体ではなく組み合わせです。

それぞれは問題のない食材でも、組み合わせると消化に負担がかかるとされる食べ合わせがあります。

これをヴィルッダ・アーハーラと呼びます。

牛乳と酸味のある果物、牛乳と魚、乳製品と塩味の強いものを同時に摂ることなどが、古典に挙げられる代表例です。

体にいいはずの食材が合わないと感じたときは、その食材単体だけを見直しても答えが出ないことがあります。

一緒に食べたものとの組み合わせも、振り返ってみる価値があります。

3. 個人の慣れ

最後に見るのは、自分自身の側の要因です。

理論のうえでは体質に合うとされる食材でも、話は同じではありません。

これまで食べ慣れていないものを急に大量に取り入れると、体が戸惑うことがあります。

逆のパターンもあります。

理論のうえでは合わないとされる食材でも、その土地で長く食べ続けてきたものは、その人にとって適応していると考えられます。

この、習慣によって体になじんだ状態をサートミヤと呼びます。

新しい食材や食べ方は少しずつ試すという助言は、このサートミヤの考え方に基づいています。

3つの視点で切り分ける

体にいいとされる食材が合わないと感じたら、次の順番で見当をつけていくと整理しやすくなります。

まず、その食材そのものの味と温冷が今の自分の状態に合っているか。

次に、同じ食事の中で相性の良くない組み合わせをしていないか。

最後に、単に食べ慣れていないだけではないか。

この3つを分けて考えるだけで、戸惑いの多くは理由が見えてきます。

体にいいと言われる食材のはずなのに合わない、という違和感の正体です。

万人に等しく合う食材というものは、そもそも想定されていません。

同じ食材について書かれた情報が食い違って見えるときも、どの視点から書かれた話かを意識してみてください。

矛盾ではなく、別の角度からの説明だと分かることが多くあります。

本記事はアーユルヴェーダという伝統医学の考え方を知識として紹介するものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。持病のある方、治療中の方、体調に不安がある方は、必ず医師などの専門家にご相談ください。