カパーラバーティという呼吸法を、聞いたことがある人は多いはずです。
けれど、それが単独の技法ではなく、6つある浄化法のひとつだと知っている人は多くありません。
ハタヨーガの古典では、この6つをまとめてシャットカルマと呼びます。
体のどこを、何を使って清めるのか。
6つを並べてみると、カパーラバーティだけが独り歩きしている理由も見えてきます。
6つを並べると
まず全体を一覧にします。
6つの浄化法と、清める場所の違い
| 技法 | 清める場所 | 主に使うもの |
|---|---|---|
| ダウティ | 消化管 | 布や水を使う技法がある |
| バスティ | 腸 | 水 |
| ネーティ | 鼻腔 | 水や糸を使う技法がある |
| トラータカ | 目・意識 | 使わない(一点を見つめる) |
| ナウリ | 腹部 | 使わない(腹筋を動かす) |
| カパーラバーティ | 呼吸器・頭 | 使わない(呼吸のみ) |
水や器具を使わずに行えるのはカパーラバーティだけ
こうして並べると、カパーラバーティだけが性質が違うことが分かります。
他の5つは、水や布、糸といった何かを使うか、腹部を大きく動かす技術が要ります。
カパーラバーティだけが、呼吸そのものを使います。
なぜカパーラバーティだけが広まったのか
道具がいらないことが、広まった理由の大きな部分です。
水を使う技法は、扱いを誤ると鼻やのどに負担がかかります。
腹部を大きく動かす技法も、体の準備なしに行うものではありません。
対してカパーラバーティは、座った状態で呼吸を整えるだけで行えます。
指導のもとで学ぶ必要がある点は他の技法と同じですが、必要な準備が少ない分、単独の技法として紹介される機会が増えました。
さらに詳しい違いはカパーラバーティとバストリカの違いにまとめています。
プラーナーヤーマとは別の段階
シャットカルマは、プラーナーヤーマやアーサナの前に置かれる、準備の技法として位置づけられます。
八支則の中に独立した支として数えられているわけではありません。
体の側を整えてから、息を扱う段階に進む。
古典はそういう順序で技法を並べています。
カパーラバーティが、外から見ると呼吸法のように見えながら分類上は浄化法に数えられるのも、この順序が理由です。
アーユルヴェーダの浄化と何が違うか
清めるという言葉から、パンチャカルマを思い浮かべる人もいるはずです。
名前も発想も近く見えますが、体系は別です。
パンチャカルマは、医学として体系化されたアーユルヴェーダの治療で、専門家の管理のもとで行われます。
シャットカルマは、ハタヨーガの実践者が練習の準備として行う技法です。
技法の名前が重なる場合もあります。
ヨーガのバスティも腸を清める技法ですが、アーユルヴェーダのバスティとは成り立ちも扱いも異なります。
同じ名前を見かけたときは、どちらの体系の話かをまず確認すると混乱しません。
6つすべてを行う必要はない
シャットカルマは、チェックリストのように6つをこなすものではありません。
伝統的には、体の状態や必要に応じて技法が選ばれるとされます。
水や器具を使う技法は特に、手順を誤ると体への負担になります。
学ぶのであれば、指導者のもとで、自分に必要な技法だけを教わる形が基本です。
カパーラバーティのように広く紹介されている技法も、自己流で回数を増やすことは避けたほうが安全です。
本記事は伝統的な考え方の紹介であり、医学的な診断・治療を目的とするものではありません。持病がある方、体調に不安がある方は、実践の前に医療機関や指導者にご相談ください。


