アーユルヴェーダというと、オイルマッサージや食養生といった生活習慣のイメージが強いかもしれません。

けれど古典の体系そのものは、もっと広い範囲を扱っていました。

内科から外科、小児科、さらには生殖まで。

現代の医学に近い8つの専門分野に分かれた、体系だった医学だったのです。

この8つを八部門と呼びます。

この記事では、8つの分野のうちどれが今の生活に残っていて、どれが現代医学に置き換わったのかを整理します。

八部門、それぞれの現在地

八部門、8つの分野の今の位置づけ

八部門の8つの分野と、それぞれが現代でどう位置づけられているかの一覧
分野名現代でいう分野今の位置づけ
カーヤチキットサー内科現代医学の内科に置き換わった
シャーリヤ外科現代医学の外科に置き換わった
シャーラーキヤ耳鼻咽喉・眼科アンジャナなど日々のケアとして残る
カウマーラブリティヤ小児科妊娠期・子どもの養生として残る
アガダタントラ毒物学現代医学の中毒学に置き換わった
ブータヴィディヤー精神・霊的な領域現代医学の精神科に置き換わった
ラサーヤナ強壮・若返りハーブや養生として広く残る
ヴァージーカラナ生殖現代ではほとんど扱われない

残った分野は、専門的な処置ではなく日々のケアとして生活に組み込みやすい形をしている

八部門の8つの分野が、現代でどう位置づけられているかの一覧

表にすると、残っている分野と置き換わった分野がはっきり分かれます。

生活の養生として残った2つの分野

シャーラーキヤ(耳鼻咽喉・眼科)は、アンジャナ(目のふちに塗る日々のケア)やネートラタルパナ(ギーを満たす本格的な目のケア)という形で今も語られています。

カウマーラブリティヤ(小児科)は、ガルビニーパリチャリヤ(妊娠期の養生)から続く一連の流れの中に、子どもの養生という形で位置づけられています。

どちらも、専門的な処置そのものではなく、日々のケアや過ごし方という形に姿を変えて残った点が共通しています。

ラサーヤナ(強壮・若返り)も同様に、ハーブや食養生という形で広く紹介され続けている分野です。

現代医学に置き換わった分野

一方で、カーヤチキットサー(内科)、シャーリヤ(外科)、アガダタントラ(毒物学)、ブータヴィディヤー(精神・霊的な領域)は、現代の生活の中で古典の名前とともに語られる場面はほとんどありません。

これらはいずれも、専門的な診断や処置を必要とする領域です。

内科や外科、中毒への対応、精神領域のケアは、現代医学という、より検証された体系に自然と役割が移っていったと考えられます。

ヴァージーカラナ(生殖)についても、現代のアーユルヴェーダ紹介でこの名前が出てくることはまれです。

まとめ

アーユルヴェーダの八部門は、内科から生殖まで8つの専門分野を持つ、体系だった医学でした。

そのうち今の生活に残っているのは、シャーラーキヤカウマーラブリティヤラサーヤナの一部に限られます。

残った分野に共通するのは、専門的な処置ではなく日々のケアという形に姿を変えて、生活に組み込みやすかったことです。

内科・外科・毒物学・精神領域といった専門的な診断や処置を要する分野は、現代医学という体系に役割を譲ったと見るのが自然です。

本記事はアーユルヴェーダという伝統医学の考え方を歴史的に整理したものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は、自己判断せず医師など専門家にご相談ください。