アーユルヴェーダには、1日の過ごし方を定めたディナチャリヤと並んで、季節ごとの過ごし方を定めたリトゥチャリヤがあります。
考え方はシンプルです。自然界の性質が変われば、体の中で増えるドーシャも変わる。だから食べ方も過ごし方も、季節に合わせて変えていく。この記事では、それを日本の気候に置き換えて整理します。
季節とドーシャの対応
古典はインドの6季を前提にしています。日本で使うときは、気温と湿度という性質で読み替えるとうまく対応します。
| 時期 | 性質 | 増えやすいとされるドーシャ | 整える方向 |
|---|---|---|---|
| 春 | 湿って重い、ゆるむ | カパ | 軽く、温め、動かす |
| 梅雨 | 湿気が強い、消化が落ちる | カパ(ヴァータも乱れやすい) | 消化を助ける、冷やさない |
| 夏 | 暑い、鋭い | ピッタ | 冷ます、無理をしない |
| 秋 | 乾いて風が強い | ヴァータ | 温め、潤し、規則正しく |
| 冬 | 寒い、重い | ヴァータ(後半はカパ) | 温め、しっかり食べる |
春:溜めたものを動かす
冬のあいだに蓄えたカパが、気温の上昇でゆるんで動き出す時期とされます。日本で春に眠気や重だるさ、鼻やのどの不快感が出やすいのは、この説明とよく一致します。
- 食べ方:軽くする。朝食を減らす、加熱した野菜と豆を増やす、乳製品と砂糖を控えめに
- 過ごし方:体を動かす。朝の運動がもっとも向く季節とされる
- 味の方向:辛味・苦味・渋味を増やす
- 向くもの:生姜、こしょう、トリカトゥ、はちみつ(加熱しない形で)
梅雨:消化を優先する
古典に対応する季節はありませんが、湿気と重さが増える時期として扱うのが実用的です。この時期はアグニ(消化力)が落ちやすく、アーマがたまりやすいとされます。
夏:冷ますが、冷やしすぎない
暑さでピッタが増える時期です。ただし日本の夏は冷房で体が冷えるという事情もあり、古典どおりに冷ますだけでは合わないことがあります。
- 食べ方:甘味・苦味・渋味を中心に。強い辛味、酸味の強い発酵食品、アルコールは控えめに
- 過ごし方:日中の強い日差しと激しい運動を避ける。夜更かしは特にピッタを乱すとされる
- 向くもの:ギー、ココナッツ、ミント、季節の果物、アムラ
- 注意:冷たい飲み物の摂りすぎで消化力が落ちると、夏の終わりに疲れが出やすいとされる
秋:乾きに油を足す
夏に溜まったピッタが落ち着き、代わりに乾いて風の強いヴァータが増える時期です。1年でもっともヴァータのケアが必要とされる季節です。
- 食べ方:温かく、油分としっとりさを足す。スープ、煮込み、根菜、良質な油
- 過ごし方:規則正しさを取り戻す。就寝と食事の時間を一定に
- 向くケア:アビヤンガ(オイルマッサージ)。この季節にもっとも意味を持つとされる
- 味の方向:甘味・酸味・塩味を中心に
秋に肌の乾燥、便通の乱れ、眠りの浅さ、落ち着かなさが出やすいのは、ヴァータの性質そのものだと説明されます。
冬:しっかり食べて、ためすぎない
寒さでヴァータが増えつつ、後半にかけてカパを蓄える時期です。消化力自体は高まるとされ、1年で最もしっかり食べてよい季節とも言われます。
季節の変わり目に不調が出る理由
アーユルヴェーダでは、前の季節に蓄積したものが、次の季節の性質によって動き出すと説明します。冬に溜めたカパが春に動く、夏に溜めたピッタが秋に影響する、という具合です。
そのため伝統的には、季節の変わり目の前後2週間ほどを移行期間として、前の季節の食べ方から次の季節の食べ方へ少しずつ切り替えることが勧められてきました。ある日から急に切り替えるのではなく、重なりを作るという考え方です。
体質によって強調点は変わる
同じ季節でも、もともとの体質によって注意点は変わります。
- ヴァータ体質:秋から冬が最も乱れやすい。この時期のオイルケアと規則正しさを厚めに
- ピッタ体質:夏の後半に無理をしない。冷ますものを早めに増やす
- カパ体質:春がいちばんの山場。冬の後半から食べすぎに注意しておく
自分の傾向はドーシャ診断で確認できます。1日の組み立てはディナチャリヤ完全ガイド、食事の詳細はドーシャ別の食事法にまとめています。
本記事はアーユルヴェーダという伝統医学の考え方を知識として紹介するものであり、病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。季節性の不調が続く場合は、必ず医師などの専門家にご相談ください。

